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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「これに懲りて些っとお気をつけなさいませよ。あなたからそんなことじゃ店のものに示しが利きませんわ。そうしてこの不浄金は私がお預りして置きますよ」

と奥さんは問題の十円紙幣二枚を手早く帯の間に納めて、キッと主人を睨んだ。バセドウ氏はナカ/\辛辣だ。

「あの通りで実際困るよ」

と間もなく小川さんはお父さんと僕を案内して家を出た時に零した。

「困るって、君が悪いんじゃないか。細君から種々聞かされたぜ」

とお父さんは同情しなかった。

「女中や番頭を買収して僕の監視をさせるんだから叶わない。今日も君がいたから罰金ぐらいで事済みになったんだよ。この間なんか大騒ぎだったぜ」

「謹厳の君子チョク/\尻尾を出すと見えるね?」

「否、今日のような退っ引きならない口とは違う。全く嫌疑さ。二個連れで生駒の聖天さまへ参詣に出掛けたという嫌疑がかゝったのさ」

「二個連れというと?」

「家内以外の異性、即ち主として芸者だね。然ういうのを連れて一日の清遊をするのが二個連れさ。それから家内、即ち嚊同伴でノメ/\出掛けるのが鋳掛連れさ」

「妙な実語があるんだね」

「鋳掛連れは別称鋳掛けて歩くともいう。