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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
爺さんも大勢いる。東京では教会といえば青年の行くところに定っているようだが」
と中年になってから教会へ御無沙汰をしているお父さんが感に入った。
「此処のは東京辺の温室作りの教会員とは違うよ。命がけで信仰を持ち続けた連中の子孫ばかりだからね。この山里村は七分通り信徒だそうだよ」
「星野君が羨しがりそうなところだね」
「何にしても大きなものだ。そうして未だ新しいようだね?」
と会堂へ入って耶蘇一代記の油絵を仰ぎ見ながら団さんが言った。
「然うだね。材料の寄附は勿論、運搬から組立まで悉皆信徒ばかりの手でやったそうだよ」
「おや/\、『婚姻の公告』とあるぜ」
と掲示場のところへ出た時三輪さんが立ち止まった。そうして、
「お婿さんはペトロ深堀甚三郎二十一歳、父ルドウィコ善八か、面白い名前だね」
「お嫁さんがマリヤ深堀初子十七歳。十七歳は些っと若過ぎる。早婚の嫌いがあるね。おや、お婿さんと同姓だぜ。して見ると血族結婚かも知れない」
とお父さんが余計な心配をした。
「信徒以外のものと縁組をしないから自然そういうことにもなるのだろうさ」
と渡辺さんが言った。
「苦情があるなら申し出て呉れと書いてあるよ」