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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
「是非一つ」
とお辞儀をした。
「入って見るのかい?」
とお父さんは案外のように訊いた。
「入るさ、君達は?」
「さあ、僕はね……」
「僕も君に見て来て貰おうよ」
そこで三輪さん丈け入坑することになった。坑内着をつけ坑内帽を被り坑内靴を穿いて、ランプを提げさせられた時には余り仕度が仰々しいので少し後悔したようだったが、今更何とも仕様がない。同じ服装をした男が案内に立った。僕達も後に跟いて行って種々の設備を見せて貰い、間もなく昇降機のところへ来た。
「炭なら四十五秒、人間なら一分です」
と案内者が言っている中にガラ/\/\と石炭が上って来た。この昇降機は天鵞絨の腰掛や化粧鏡のついた生やさしいものでない。
「石炭と間違えられはしますまいかね?」
と三輪さんも案じたくらいだ。
「合図をしますから大丈夫です。この棒に捉っていないと危いですよ」
と案内者が注意したところを見ると間違えられなくても油断はならないのらしい。
「よし/\」
と頷く間に三輪さんの姿は消えてしまった。
「直ぐは出て来ないぜ。祇園へでも寄ってサイダーの一杯も飲んで来る積りだろうから、彼方へ行って待っていよう」