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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

と奥さんが和製で間に合わせて置いたのに思い当っても、

「へゝん、乃公だってそう毎日間違えて来るもんか。それに考えて見れば今日は早かったから乃公一人だった」

と三輪さんは自慢にもならない説明を添えて威張っている。僕はこの間に、

「それではお早く。左様なら」

と言って駈け戻った。

間もなく三輪さんが来た。奥さんから聞いたと見えて、団さんと顔を合わせると、

「行くってね」

と嬉しそうだ。

「行くさ」

と団さんは相変らず落ちつき払っている。

「君が味方について呉れゝば百人力だ」

と三輪さんは例によって言うことが大袈裟だ。

「宛然お家騒動でも起すようだね」

とお父さんが笑った。

「お二方がお揃いになったからソロ/\用談に移りますかな。しかしその前に僕は一つ、お二方の御承知を願って置かなければならないことがある」

と団さんは妙に改まった口調で切り出した。

「何でも承知するよ。ねえ、三輪君」

「宜いとも。余り話がトン/\拍子だから条件をつけられるのは覚悟の前だ」

とお二方は唯々諾々という体を示した。

「実は僕は娘を連れて行かなければならない。妻が是非とも然うして呉れと言うので、到頭首を縦に振ってしまったんだが、君達はそれでも差支ないかい?」