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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
第四回
田舎の自動車は遅いなんて悪口を書かれると早速営業に差し響くからね」
「気を廻したもんだね。道理で一向お国自慢を言わないと思った。しかし折角見物に来たんだから、宜しく頼むよ」
「そう話が分ればゆっくり引き廻してやる。一つ案内の練習をして見るかな。……坊ちゃん、今橋を渡ったでしょう? あれが黄瀬川で、頼朝と義経が対面したところがこのすぐ彼方に残っています。それからお嬢さん、曽我兄弟の芝居を御存知でしょう? あれに出て来る亀鶴という綺麗な白拍子の墓が今通ったところにありますよ。沼津の子守歌を教えて上げましょうか? 『坊やは好い子だ寝んねしな。この子の可愛さ限りない。天に昇れば星の数。七里が浜では砂の数。山には木の数草の数。沼津へ下りれば千本浜、千本松原小松原。松葉の数よりまだ可愛』というのです。何うです? この頃の詩人の拵える童謡よりは余程詩的に出来ているでしょう」
第四回
「大社とも明神さんとも言いますよ。この辺の人は。伊豆一番の神社ですが、あの池の鯉が大きいくらいなもので、別に珍しいこともなかったでしょう?」
と仙夢さんは僕達が三島神社の境内を通り抜けた時に言った。