轻松读懂日语经典作品
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
人間は、母の胎内に宿る時初めて創られるもので、その前はまったく無である。別に前世というものはない。もし前世があるならば、前世の因果があらわれて、生まれつきの幸不幸があるのもよかろうが、前世がないのだから、人間の生まれつきの違いはその人の責任ではなく、まったく神の思し召し次第で決められるのである。なぜ、神はこんな不公平をなさるのであろうか? ――
イエズスの一行がエルサレムの宮の前に来かかると、そこに生まれつきの盲人が施しを乞うて座っていた。弟子はイエズスに向かい、
「この人が盲人に生まれたのは、だれの罪によりますか? 本人の罪ですか? それとも両親の罪ですか?」
とたずねた。イエズスは、
「この人も両親も罪を犯したわけではない。盲人に生まれたのは、この人の身の上に神のみ業があらわれるためなのだ」
と答え、奇跡を行なってその目を見えるようになさった。
世間の常識で、不幸不運と思われている病弱・貧しさ……これらは皆、やがてその上に神の光栄あるみ業があらわれるためなのである。こんな人びとが素直な心をもちつづけておりさえすれば、いつかは神のみ業があらわれるのだ。