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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
神のみ栄えのために私はうれしくこの家に入った。故里遠く、旅に病む身にとって、この浦上の里人が皆己のごとくに私を愛してくださるのがありがたく、この家の名を如己堂と名づけ、絶えず感謝の祈りをささげている。
「廃墟の子ども 永井 隆 画」のキャプション付きの挿絵
廃墟の子ども 永井 隆 画
死病にかかっている父、二人の幼い孤児予定者――これが如己堂の住人である。この三人の人間が生きてゆく正しい道はどこにあるのか? ――それを探して苦しみ悩み考え、祈り、努めてきた。私が考えたこと、子供たちがしたこと、子供に話したこと、今わかりそうにないから書いておいて後で読んでもらうこと――それを、そのままこの書に書いた。
これは私の家の記録である。公のものではない。世間一般に通用する考え方、生き方ではないかもしれない。しかし、孤児の親たち――あっと言う間もなく、愛する子を焼け跡に残して亡くなったあの人たちの魂は、あるいは共鳴してくれるかもしれぬと、ひそかに私は思うのである。もし共鳴する魂があれば、この書はその亡き人びとの代弁をつとめるであろう。
ここから見ていると、誠一は瓦のかけらをもっこで担いで捨てに行くところ、カヤノはつるばらの花を有田焼のかけらに盛って独りでままごとをしている。