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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
第一のおきて
飛んで逃げた青い鳥だ。わが家にも見つからぬ青い鳥だ。チルチルとミチルならぬ誠一とカヤノとが、青い鳥を再び見つけるのは、天国の花園であろうか?
孤児はこの青い鳥をこの世ではあきらめている。せっかくあきらめているのに、おせっかいな大人が白い鳥の羽に青絵具を塗って、さあ青い鳥がいたよ、と渡すから、いざこざが起こるのだ。孤児はその真実の白い鳥をもらえば満足するのである。白い鳥なら白いままに与えればよい。
所長は所長としての愛を、所長の奥さんは奥さんらしい愛を、先生は先生の愛を、まかないさんはまかないさんの愛を、叔父さんは叔父相応の愛を、叔母さんは叔母さんだけの愛を――つまり真実の愛を、真実の立場から孤児に与えてくださればいいのである。惜しみなく、かえりみなく、つくろわず飾らず注いでくださればいいのである。各人が孤児を「己の如く愛し」てくだされば、それがいちばん善いのである。なんの工夫も技巧も仮装もいらぬ。ただ、自分が他人からしてほしいと思うとおり、孤児にしてやればいい。
第一のおきて
孤児を「己の如く愛し」ている収容所職員の多いことを私は知っている。それにもかかわらず収容所の成績が上がらないことも私は知っている。