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だだらだんべえ
だだら団兵衛
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页
と口にまかせて罵りたてた。正面からこうやられて団兵衛かっとなり、
「だ黙れ牛の頭め!」
と叫びながら式台へ下りた。
「きききさま、ことの仔細も存ぜず雑言を叩くとは、ぶぶ無礼なやつ、かかの庄太夫と申す者はその時三十斤の鉄棒を持ち、せせ拙者は少将殿のお望みにて無手丸腰、はじめより尋常の立合でないことは知れていたのだ、にに二百石が高禄などとは笑止千万、この、こここの、たたたたららだだ団兵衛を召抱えるとなれば、三百石五百石でも安いものだ!」
「では貴殿の二百石は高禄でないと申されるのだな?」
八郎太が念を押すように訊く、
「ゆゆゆ云うまでもないこと、せせ拙者にとって二百石や三百石は、めめ目薬にも足らぬ」
「偉い!」
八郎太膝を打って叫んだ。
「よくもそこまで申された、上辺のみ綺麗に取りつくろう今様侍の多い中に、はっきりそれだけ云ってのけるところ正に一勇士でござる、なるほど二百石は安い、しかし多々羅氏、武士は己を知る者のために死すとか聞く、まあ当分はそれで我慢なされい、折あらば拙者からも推挙仕ろう!」
云われて団兵衛はっと気がついた。
「あいやしししばらく、せせ拙者は、御当藩に仕官いたした訳ではなく、その――」