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だだらだんべえ

だだら団兵衛

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页

青空文庫

「これは怪しからぬ、たった今貴殿は二百石は高禄でない、目薬にも足らぬと云われたではないか、仕官いたさぬ者が、何の必要あって石高の多寡を論ぜられたか。二百石は安いと云われるのを、しかし武士は己を知る者のために死す、しばらく御辛棒と拙者が申上げた、武士と武士がこれほどはっきりと申交したことを、よもや貴殿取消しはなさるまいが?」

「うーむ」

呻ったが間に合わぬ。云い返そうと思うけれど吃る癖が出たから、それが邪魔をして反対に云いくるめられるのは必定、歯噛をした団兵衛、

「かかか勝手にめされい、しし知らぬ!」

と云って入ってしまった。

明る日になると、新規御召出の祝儀に! と云って知友のほうから祝品が次から次と持込まれる、断るに断りきれず受取っておくと、四五日して城中からお召がきた。

「今日こそきっぱり片をつけよう!」

決心して出ると、顔を見るなり光政が、

「団兵衛か、仕官致すおもむきたしかに南部八郎太より聞いた、出精頼むぞ!」

と云うより早く、すっと立って奥へ入ってしまった。どうすることもできない、このうえにたって御免と云えば、こんどは南部八郎太の名を蹂躙ることになるから、