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だだらだんべえ

だだら団兵衛

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页

青空文庫

「八郎太逐電!」

という報告を聞いて、知るも知らぬもあっと声をのんだ。すぐにこのむねを言上すると、日頃出頭の侍だけに光政は怒って、

「よもや家族までは立退くまい、きっと探し出して厳罰にしろ!」

と仰出された。団兵衛の聞いたのはそれだけである。しかし八郎太がそんなことをするはずはないと固く信じきっていた団兵衛は、黙って邸へ帰って知らぬ顔でいた。

即日、梁川主馬の息三十郎は、仇討御許を得て南部八郎太の跡を追う。一方目付役は、光政の名をもって、

「南部八郎太の家族を匿う者はすみやかに申出ずべし、もし怠った場合には厳重に罰す!」

という触書を回した。触書を回したが届出る者はない。といって八郎太の妻子が城下を脱出た形跡もないから、ついに目付役が、家中の者の邸を片端から検分して歩いた。勿論多々羅の邸へも来たが、日頃犬猿の仲ということは隠れもない故、

「おりませぬ」

と答えるとそれで済んだ。

「邸内をお検めくださるか?」

と訊くと、目付の者はにやにや笑いながら、

「いやけっこうでござるよ」

そう云って帰って行った。

弥九郎が心配して、もしこのことが知れて厳重なお咎があったらどうなさるか、と訊くと、