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だだらだんべえ

だだら団兵衛

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页

青空文庫

二天流の達者で、三尺二寸無反という強刀を自由に扱い、藩内屈指の武術者であった。

京へ使者に立って帰ると間もなく、

「団兵衛は山賊を連れて戻ったそうだ」

「熊のような男だ!」

「その山賊を邸へ飼ってある」

そんな噂が家中へひろまった。なかには邸へやって来て、噂の山賊を見せてくれ、などと云い出す者もでてくる始末である。

云うまでもなくそれは、鈴鹿の下りで是非にと頼まれ、余儀なく連れ帰って召使っている、例の大蛇嶽闇右衛門こと弥九郎のことをいうのであった。

そんな噂には耳もかさず、いいかげんにあしらっているうち、ある日のこと出仕をするとすぐ、御使番が来て、

「御数寄屋で殿がお召でござる」

と伝えた。

急いで伺候すると、領主高虎の傍に、この頃客となって滞在中の、池田新太郎少将光政が控えていた。縁先へ参って平伏すると、

「近う寄れ」

と招かれて、

「つまらぬ噂だが、余の耳に入ったゆえ訊ねる、そのほう先日京へ参ったおり、鈴鹿峠で山賊に遭ったそうだな?」

「はっ」

おやおや、弥九郎を邸に置くお叱りかな、と思っていると、

「して、その節山賊のために、そのほうは身ぐるみ剥かれたという噂だが、事実か!」