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だだらだんべえ
だだら団兵衛
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页
当代士を愛すること光政に及ぶ者なしと云われたほど、その家中には多くの人材を集めていた池田光政、じっと見ているうちに、むらむらと多々羅団兵衛が欲しくなった。しかしこれほどの者をむざとくれる訳がない、何か妙案はないかと頭を捻ったが、ふと思いついたことがある。
「では団兵衛、無手で戦う覚悟のほど、余に見せてくれぬか?」
と膝をすすめた。
「と、仰せられますと?」
「余の手許に、近頃召抱えた武芸者がいる、畠山庄太夫と申して三十斤の鉄棒を自由に扱う強力者だ、その庄太夫とこの場で試合をして見せてくれ!」
「はっ!」
と答えて高虎の顔を窺うと、
「面白い、余も見物しようぞ」
と煽てるから、よろしゅうござると承知をした。それではというので使が走る、間もなく畠山庄太夫がまかり出た。
寛永といえばまだ、大坂の戦塵おさまって十年そこそこ、世の気風は殺伐で、武術試合などは素面素籠手に木剣、怪我くらいは勿論のこと、他流試合にはしばしば真剣が用いられるので、そのために落命する者も珍しくはなかった。
招かれた庄太夫は身丈六尺三寸余、顔面手足まで針のような毛が生え、鷲のごとき眼でぎろりぎろりと四辺を睨めつけながら、五尺一寸重さ三十斤の大鉄棒を右手に、踏みはだかって庭前へ現われた。