轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちょうとみっつのいし
ちょうと三つの石
小川 未明
「婦人倶楽部」1921(大正10)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,385 字 · 9 页
女は、どちらへいっていいか、まったくわからずに途方にくれてしまった。
「俺は、長い間、どんなにおまえを待ったかしれない。」と、第一の夫がいいました。
「私は、いちばん最後におまえと別れたのだ。おまえは私といっしょに、あの世へゆくのがほんとうだ。」と、第三の夫がいいました。
「おまえは、私といっしょに、あの世へゆくといって約束をしたじゃないか。」と、第二の夫がいいました。
女は、まったく途方にくれてしまいました。
このようすを、仏さまはごらんなされていました。
「おまえは、悪気のある女ではないが、そういって、三人に約束をしたのはほんとうか。」と、仏さまは、女にたずねられました。
「わたしが悪うございます。そういって、三人に約束をしました。けれど、心からうそをいう気でいったのではございません。一時は、あの世があることを信じました。一時は、あの世があるかどうかを疑いました。」と、女は申しました。
仏さまは、しばらく黙って考えていられましたが、
「おまえは、三人の中で、いちばんどの人を愛しているか?」と、お聞きになりました。
女は、かつて、いちばんどの人を愛しているかを心に考えたことがないので、返答に困っていました。