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なつかしまれたひと

なつかしまれた人

小川 未明

「童話」1926(大正15)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,245 字 · 11 页

青空文庫

みんなの間にまじって、いっしょになって重い荷も運べば、またかついだりしました。たとえ、年をとっていても、仕事のうえで、若いものに負けることはなかったが、若いものは、なるたけ、この年をとった、しんせつなおじいさんをいつもいたわっていたのであります。

こうして、働く人々の社会には、美しい人情の流れる、明るいところがありました。そして、またこうしてしんせつなおじいさんが、だれか一人、若いものの中にいなければならなかったのは、ちょうど、人間の社会ばかりでなく、他の獣物の集まりの中でも、経験に富んだ、年寄りがいて、野原から、野原へ、山から、山へ旅するときには、その年とったのが道案内となって、みんなが、あとからついてゆくのと同じでありました。

勘太じいさんは、毎日、みんなといっしょに働いていました。しかし、ついに、みんなから別れていかなければならぬときがきました。しかも、それは不意であったのです。

おじいさんの息子が、田舎で成功をして、はるばるおじいさんを迎えにきたのでありました。

「おじいさん、長い間、苦労をさせまして申しわけがありません。私は、このほど、ようやく仕事のほうが都合よくいくようになりましたから、もうこの後おじいさんに苦労をかけることもないと思って、迎えにまいりました。