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ふたりのおばさん

ふたりのおばさん

室生 犀星

「銀河 第三卷・第一号 一月号」新潮社、1948(昭和23)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 页

青空文庫

これはおばさんだけにかぎられたことではなく、おとなというものは子どもと話をするときには、なぜかじっと子どもの顔ばかり見つめるものである。おばさんもそうである。なんだかしじゅうにこにこして、気の長そうな話しぶりなのである。そんなときにカニはどんぶりの中をすべりながら歩いていて、それをリョウヘイは楽しく見ながらおばさんの顔はなんて四角いのだろうと思うのである。

タカダ屋というダイクさんはリョウヘイの家にくるダイクさんで、いつでも半分いねむりしているように、何をいってもうんうん返事をする人である。お金がたくさん取れると、自分の坂の上の家に、こんどは本当の二階を建てるのだといって、材木をガケの上にたくさん積んでいた。リョウヘイはそんならこんどは三階の家になるんだね、と、おばさんにいうと、三階ではなく二階の家ですよ、ここは普通の家のようにヒラヤだから、これに建て増しをしたら二階やになるのだというが、リョウヘイは、階下を加えると三階だから三階の家だといって、聞き入れなかった。どう考えてみても三階の家であった。

夏も春も景色が見られていい家であったが、冬はさびしく人どおりもすくなく、雪はふかくつもっていて、おばさんとおじさんとはコタツにあたりながらひっそりと日を暮らしていた。