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ふたりのおばさん

ふたりのおばさん

室生 犀星

「銀河 第三卷・第一号 一月号」新潮社、1948(昭和23)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 页

青空文庫

やはり目が細く、なりが高かったが、いつでもリョウヘイはそこでおばさんに、着もののほころびを縫ってもらっていたが、おばさんはそんなことをめんどうくさそうにはしない、リョウヘイが用事もないのにふらりとはいってゆくと、おばさんはきっと呼んで、かえろうとするリョウヘイにいった。

「あ、ちょっと、着ものがほころびているから縫ってあげよう。」

リョウヘイは着ものをぬぐわけにゆかないから、いつも着たまま縫ってもらうのであるが、おばさんはきまってこういった。

「ぬぎましたというんですよ。」

「ぬぎました。」

「それでいいわ。着て縫うときはいつでもそういうんですよ、だれかがきいていますからね。」

「だれが聞いているの。」

「針の神さまなんですよ、着ていて縫うことは針の神さまに悪いからね。」

リョウヘイはふしぎな気がしたが、やはり、ぬぎました、といったほうが安心であった。

お茶のときにテツビンをシキイの上に、リョウヘイはある時にじかに置いたことがあった。テツビンの底が焼けて熱かった。

「リョウヘイさん、シキイというものには親のひたいがあるんですよ、だから、熱いものをおいてはいけません。