轻松读懂日语经典作品
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页
きげんを損ねないようにと絶えず気を張っていらっしゃる、こんなふうでいて、それでもお姉さまはおしあわせだと仰しゃいますの」
「もうそれでおやめなさい、いいえたくさん、おやめにならないと怒ってよ」
信乃は強くこう云った。じっさい怒りそうな顔つきであったが、その美しく澄んだ眼には狼狽の色があらわれていた。妹が黙ると、信乃は静かに茶を淹れながらおちついたゆっくりした調子でこう続けた。
「人間の幸不幸はたやすく判断のできるものではないわ、ことに夫婦のあいだのことはむずかしいものよ、はたから見て仲が良いとか悪いとかいう感じだけでは、とうていわからない事がたくさんあるの、経験のないあなたが自分の眼だけを信じて、そんなふうに考えるのはたいへんなまちがいよ」
文代は姉の言葉をうわのそらに聞きながした。はいはいなどとおじぎをして、その話しはそれでやめにしたが、なにかまだ云いたいことがあるらしい。ようすがおちつかないと思っていると、やがてさりげない顔つきで、意外なことを云いだした。
「お姉さま、西原の知也さまが牢舎へおはいりになったことご存じでしょう」
「――知也さまが、……なんですって」