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めおとちょう

めおと蝶

山本 周五郎

「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页

青空文庫

四

と云ったことに関係があるらしい、――ときには四、五人の同僚を伴れて帰り、居間で夜を徹することなどもあった。

客が三人泊った翌朝のことである。まだほの暗いじぶんに朝食を命じ、それが済むと良平も客といっしょに出ていった。そのあと、良人の居間を掃除していると、ひと綴りの書類をみつけた。……これまで決してそんなことはなかった、特に公用に関する物は大切にしていて、机の上に出して置くことさえなかったのであるが、それは机の向うに落ちていたし、いそいでいたので忘れたものだろう。そのまま机へ載せようとして、信乃はなにげなくばらばらとめくってみた。

それは五六葉の綴りで、罪科書だろう、人名に数行の罪状を附したものが列記してあり、その各個の上に「死」「追」「永」などの字が書いてある、死という字は朱であった。

四

信乃はああと声をあげた。そのなかに知也の名があった。馬廻総支配助役四百二十石十人扶持西原知也。そうしてその上に「死」と朱で書いてあるが、墨で二度まで消してあるのは、他の罪科を改めたものとみえる。罪条はごく簡単に――井巻国老はじめ重臣数名を暗殺しようとした首謀者、ということが記してあった。