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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

しかし私は勤め運の好くないことがソロ/\分り始めた。一年足らずで、こゝも首になってしまったのである。理由は未だに分らないが、文筆癖が祟ったのらしい。記者として文章の嗜みは結構な筈だが、私は余所の雑誌記者と懇意になって、小遣稼ぎの原稿を時折自社の机で書いていた。余暇を利用したので、編輯事務には少しも支障を来さなかったが、矢張りこれがいけなかったのかも知れない。兎に角、或日、

「熊野君」

と編輯長が呼んだ。

「何ですか?」

「一寸」

「今少し忙しいんですが……」

と私は迷惑した。某誌の締切が迫っていた。

「冗談じゃないよ」

「何ですか?」

「君は余所の社へ行って働いた方が宜いだろう」

「はあ?」

「この間から考えているんだが、矢っ張りその方が宜いよ。余所へ行って大いに働くことにしてくれ給え」

「僕は何方でも同じことですけれど」

「同じことなら、是非然うして貰いましょう」

と編輯長はそれでもう申渡しを終ったのだった。流石に大衆雑誌だ。婉曲に首を切る。

私はジタバタしない。直ぐに諦めて、母校へ駈けつけた。門のところで三好さんに行き会ったから、会釈をして進み寄ったら、

「君、又不可抗力じゃないかい?」