轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 页
帆村は隅から一つずつ、その小さい壜を下すと、蓋のあるものは蓋をとり、中身を小さい匙の上に掬いとってみたり、天秤の上に白紙を置いてその上に壜の内容全部をとりだして測ったり、また封の切ってないものは封緘を綿密に検べたり、なかなか念の入った検べ方だった。始めは感心していたものの、私はだんだん飽きてきた。その退屈さから脱れるために、何か面白いものでもないかと調剤室の中をズッと見廻した。
しかし別にこれぞという異った品物も見当らなかった。唯一つ、背の低い私にはちょっと手の届きかねる高い棚の上に、直径が七八センチもあろうと思われる大きい銀玉が載っていた、その銀玉は、黒縮緬らしい厚い座布団を敷いて鈍い光を放っていた。どうやら煙草の錫箔を丹念に溜めて、それを丸めて作りあげたものらしかった。いくら煙草ずきの人でも、これだけの大きさの銀玉を作るには少くとも三四年は懸るだろうと思われた。
私はあとで丘田医師に訊ねてみようと思って、なおもその銀玉を見つめていたのであるが、そのとき妙なものに気がついた。それは銀玉の上から三分の二ぐらいのところに、横に一本細い線が入っていることだった。