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バルザックにたいするひょうか

バルザックに対する評価

宮本 百合子

「文学古典の再認識」芸術遺産研究会編、現代文化社、1935(昭和10)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,904 字 · 62 页

青空文庫

一九三三年一月に蔵原惟人が獄中から或る友人に宛てて書いた手紙の中にバルザックのことがトルストイとの対比においてふれられている箇所がある。すでにその時分、プロレタリア作家の一部にリアリズム研究の対象としてバルザックがとりあげられ、それに関して獄中の彼へ手紙が送られたのに答えたものである。手紙の筆者が「復活」のネフリュードフやカチューシャが写実的にかけていないこと、その点ではむしろバルザックの諸作品の方がすぐれていると、当時の流行にしたがった解釈を来しているのに対し、蔵原は、トルストイが「復活」においては「アンナ・カレーニナ」や「戦争と平和」をも含む自分の過去のすべての芸術作品を否定し、それ以上のものを望んだのであるが、「彼がそれによって立っていた思想が間違っていたのと、彼が理想というものを社会の現実的な発展以外のところから取って来たから」破綻したこと。「これに反してバルザックは自分の観照の世界に満足してそれから一歩も外に出ようとしなかった」ことを指摘している。書簡は更に不自由そうに「哲学者は世界を様々に解釈して来た、しかし重要なことは云々というフォイエルバッハ綱領の中のマルクスの言葉はそのまま芸術の場合にもあてはまります。