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リズムのこうぞう

リズムの構造

中井 正一

「美・批評」1932(昭和7)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,957 字 · 16 页

青空文庫

数学的ならびに存在論的解釈については、私は自分で提出して、自分で否定した。それについての否定は個人の観念的経験をもってして否定の権利を保持している。しかし、今度は、肯定をもってする問い、疑問記号なき問い、として一つのテーゼを提出する。それは歴史人としての集団性への信頼のもとに個人の部署をテストするの意味である。それは必ず新しき論理学への契機であることを自分は信じている。リズムの問題も、すでにそれが歴史的立場として考察される場合、その主張にあたってもかかる形態にあらねばならぬと私は思う。それは主張が単なる個人的観念論的帰結をもっていないことへの自覚への用心である。

7

問題はリズムである。

リズムが歴史性をもっていることのザッヘ的考察において、よき一つの例を私はここに提出しよう。さきにボートの例をとった。舵手の数学的拍子で漕いでいる場合、そのリズムは数学的解釈の範囲を越える必要はない。しかし、それがよき漕手の内面に立ち入って、一ストローク一ストロークのねらいが安心のいく域にまでねらわれるにあたって、そのねらうこころのきわみにリズムの本質をもたらす場合、いわゆるその呼吸、そのイキはすでに数学的解釈を越えて、すでに人間学的、存在論的解釈を必要とするといわなくてはならない。