轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
明智の突然の子供じみた仕草が二人を驚かせた。が、それよりも一層変なのはピアノの音であった。明智の指が鍵盤に触ると、発条のゆるんだボンボン時計の様な音が響いて来た。
「いたんでますね」
明智は手を止めて夫人の顔を見た。
「イイエ、そんなはずはございませんが。ずっと三千子が使っていたのですから」
明智は最前たたいたキイをもう一度試みたがやっぱり同じ音がした。その次のキイも喘息を病んでいた。三人はふとおしだまって顔を見合せた。彼等はある非常に不気味な予感にうたれたのだ。山野夫人は真青になって明智の目を見つめた。
「開けてもいいでしょうか」
しばらくして明智が真面目な表情で尋ねた。
「ハア、どうか」
夫人は心もち震え声で答えた。
明智は鍵盤の下部の金具を動かして、細目にふたを開き、中をのぞき込んだ。
紋三は明智のうしろから、および腰になってピアノの内部よりはむしろ明智の表情を注視した。彼はピアノの共鳴箱の空洞の中に、ある恐しいものを予期していた。腕と足とを切断された、血まみれの女の死体が、ありありと目の前に浮んだ。
だが、すっかりふたが取り去られた内部には、一見何の異状もなかった。