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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
この話では、蛇つかいのお八重はインテリ女らしい。すると、やはりあの静枝はこの蛇つかいのお八重なのであろうか。そこで妾は彼女の素性を訊ねたが、あの娘は二年ほど前に突然一座に転げこんで来たので、前身は知らないと老人は答えた。またそのお八重が申年かどうかも知らなかった。
妾は、果して静枝が蛇使いのお八重であるか、どうかと思って、それとなく、お八重の容貌などについて尋ねてみたが、聞いていた銀平は大きく肯き、
「そういえば、お前さんをどこかで見たような仁だと思っていたが、なるほどお前さんはお八重に似ているところがあるネ。お前さんはその姉さんか身内ででもあるのかい」
と云ってシゲシゲと妾の顔を見た。妾は真逆そんなことがネと、軽く打消した。だが、静枝はお八重に違いない気がする。恐らく彼女は一座と縁を切るために、殊更自殺したらしく見せかけたものであろう。そこには智恵袋の速水女史が采配を振っただろうことが想像されるのであった。でも彼女の前身が分っていないのでは、どうにも仕方がなかった。疑うなれば、なにか別の手段によって、ハッキリした証拠を探すより外はなかった。ただ静枝が真一に恋をしていたということは初耳だった。