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さんにんきょうだい

三人兄弟

菊池 寛

「赤い鳥」赤い鳥社、1919(大正8)年4月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,630 字 · 22 页

青空文庫

一 三筋の別れ道

一 三筋の別れ道

まだ天子様の都が、京都にあった頃で、今から千年も昔のお話です。

都から二十里ばかり北に離れた丹波の国のある村に、三人の兄弟がありました。一番上の兄を一郎次と言いました。真中を二郎次と言い、末の弟を三郎次と言いました。兄弟と申しましても、十八、十七、十六という一つ違いで脊の高さも同じ位で、顔の様子や物の言いぶりまで、どれが一郎次でどれが二郎次だか、他人には見分けの付かないほどよく似ていました。

不幸なことに、この兄弟は少い時に、両親に別れたため、少しばかりあった田や畑も、いつの間にか他人に取られてしまい、今では誰もかまってくれるものもなく、他人の仕事などを手伝って、漸くその日その日を暮しておりました。が、貧乏ではありましたが、三人とも大の仲よしでありました。

ある夜のことでありました。一郎次は、何かヒドク考え込んでいましたが、ふと顔を上げて、

「こんなにして、毎日末の見込もなしに、ブラブラ暮しているよりも、いっそのこと都へ行って見ようかしら。都には、面白いことや賑かなことが沢山あるそうだが。」と、言いました。それを聞くと、二郎次も三郎次も声を揃えて、