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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
表面はぴかぴかに金属光沢を放っている。十字にバンドがしてある。アイ・ボルトが何本かうちこんである。一同はそのまわりをまわってみた。
「や、字が書いてある」
たしかに字が書いてある。書いてあるというより、字を酸水素焔かなんかで焼きつけてあるといった方が正しいであろう。
×取扱注意、扉Aを開け×
それだけのことが書いてある。
はて、この球は一たい何であろう。
冷凍人間
四人の登山者の好奇心は、いやがうえにもえあがった。
もう登山どころでない。このふしぎな金属球の中をのぞいてみないと、承知ができなかった。
「とにかくこの球は、万年雪がとけて、その下から出て来たものだよ。もっと上にあったのが、ころがりだして、ここまで来て停ったんだと思う」
「火星からなげてよこしたものじゃないか。開けると、中から火星人の手紙かなんか入っているんじゃない?」
「火星からじゃないよ。だってこのとおり×取扱注意、扉Aを開け×と、日本文字で書いてあるんだから、これは日本でこしらえたものにちがいない」
「早く、その扉Aというのをあけてみた方がよかないでしょうか」
「そうだ。それがいい。そうしよう」