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ふしのくすり

不死の薬

小川 未明

「日本少年 臨」1914(大正3)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,534 字 · 7 页

青空文庫

二

その国の北の方に金峰仙という高い山がある。その山の嶺のところに、自然の岩でできた盃がある。その盃は天に向いてささげられてある。星が夜々にその山の嶺を通るときに、一滴の露を落としてゆく。その露が千年、万年と、その盃の中にたたえられている。この清らかな水を飲むものは、けっして死なない。それは世にもまれな、すなわち不死の薬である。これをめしあがれば、けっして死ということはないと、天子さまに申しあげたのでありました。

二

「君! 金峰仙って、あの山かい。」

といって乙は、あちらに見える山の方を指して丙に問いました。

「ああ、あの山だって、死んだおじいさんがいったよ。」

と丙が答えました。

「君はその話をおじいさんから聞いたのかい。」

と甲が問いました。

「ああ。」

と、丙は軽くそれに答えて、また話を続けました。

天子さまは家来をお集めになって、だれかその薬を取ってきてくれるものはないかと申されました。みなのものは顔を見合わして容易にそれをお受けいたすものがありません。するとその中に一人の年老った家来がありまして、私がまいりますと申し出ました。天子さまは、日ごろから忠義の家来でありましたから、そんなら汝にその不死の薬を取りにゆくことを命ずるから、汝は東の方の海を渡って、絶海の孤島にゆき、その国の北方にある金峰仙に登って、不死の薬を