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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧逸馬『世界怪奇実話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「世界怪奇実話」序文、ウンベルト夫人の財産、都会の類人猿、肉屋に化けた人鬼、生きている戦死者、運命のSOS、斧を持った夫人の像、海妖、カラブウ内親王殿下、双面獣、モンルアルの狼、消えた花婿、土から手が、ロウモン街の自殺ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 页
四十一年後の一九一三年、十一月号の The Strand Magazine に、倫敦ハムステッド Peterborough Lodge 小学校の校長で M. A. Howard Linford という人が、メリイ・セレスト号の乗組員の一人だったと称する同家の老僕 Abel Fosdyk なるものの談話を寄稿して、鳥渡世の注意を惹いたことがあるが、事実相違の点が多く、問題にならなかった。ただ何処の何者とも知れない老下男の出鱈目を真面目に取って雑誌へ書いたりした校長先生の責任が問題になっただけだった。
海には海自身の、吾われの知らない独自の劇的生活と愛憎と神秘があるのかも知れない。ポウの“Tales of Mystery and Imagination”と、コルリッジのあの幽怪哀調の詩“The Ancient Mariner”は、このメリイ・セレスト号を題材にしたものである。
が、それにも増して奇怪なのは、この事件から三十九年を経た一九一一年七月二十四日の夜に、こうしてライン河上に私用船エイメ号を流して談笑していたあのエドワルド氏、ジャネット夫人、モッファ氏、キュヴァリエ少将、ポウル・フェラル氏、デニュウ博士とその夫人達の間に、何うしてこのメリイ・セレスト号事件が、話題に上らなければならなかったか。