轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧逸馬『世界怪奇実話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「世界怪奇実話」序文、ウンベルト夫人の財産、都会の類人猿、肉屋に化けた人鬼、生きている戦死者、運命のSOS、斧を持った夫人の像、海妖、カラブウ内親王殿下、双面獣、モンルアルの狼、消えた花婿、土から手が、ロウモン街の自殺ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 页
5
が、恐るおそるペンを受取った女は、軸からペン先まで不思議そうに見入ったきりで、怖いもののように、そっと机のうえに置いてしまった。そして、部屋の隅に、子供の絵具箱が置いてあるのを見ると、うれしそうに駈寄って、穂の長い小さな絵筆と、青の絵具皿を取り出して来た。ペンは、使い方は愚か見たこともない様子だが、毛筆はお手のものとみえる。器用な手つきである。筆の先に青絵具をふくませて、さらさらと紙を撫でる。達筆だ。一行の文字だ。亜刺比亜字らしいのである。
5
が、亜刺比亜の字など、その方面の学者でもない限り、そうざらに読める筈はない。ウオロウル夫人も困って、その、女の書いた字を白眼んで首を捻っていると、急に相手は面白そうに笑い出すのだ。そしていきなり、文字と自分を交互に指さして、鸚鵡のように繰り返した。
「Caraboo ! カラブウ!」
しかし、ウオロウル夫人には、この「カラブウ」が何のことかその時はまだ判らなかった。
ただ曙光を認めたような気がした。根気よくやりさえすれば或る程度まで相互に理解出来る望みがある。夫人はそう思って次ぎに、毎日女を伴れて邸じゅうを見せて廻ることにした。