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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
在线阅读風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 页
ところで私は不用意に文学という言葉をときどき使ったが、その文学とは、せまい意味の文学的な今日いうところの文学のことなのであって、それの本質は、個人の心情を通した抒情である。随ってそれはまた、読者の個人的心情を抒情的にする。その意味からして、平安時代から中世を通じての文学伝統の主軸は和歌であったと見なければならぬ。物語などはまだ歴史と詩との間に揺らいでいたのである。以上のように文学伝統の主軸であるという意味から見ると、中世の和歌はなかなか重大な意味を持つものとなってくるのである。だから中世和歌を考えることは、宮廷を中心とした唯一の文学伝統の主軸を考えることになるのである。
さてその和歌の軸になるものは、歴代の勅撰の和歌集である。これが平安時代に六集、鎌倉時代に十集、吉野・室町時代に五集、併せて二十一集撰ばれている。これを併せて二十一代集と名づけている。これは後々まで必要だから、次にその表を掲げて置くことにしよう。
一体『万葉集』にも勅撰説があるのだし、あるいはそれは有力な考えになりはしないかとも思うのであるが、明確でないから避ける。『古今集』以後の和歌集が勅によって撰ぜられたのは、『経国集』