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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
在线阅读風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 页
十三
『続千載』もまたよく為世の言説を裏書きする。
さほ姫の霞の衣冬かけて雪げの空に春はきにけり 為氏
まづ咲ける花とやいはんうちわたす遠かたの辺の春の淡雪 為家
春くれば雪とも見えず大空の霞を分けて花ぞちりける 後宇多院
おのづから去年きてとひし人ばかり思ひいづやと花に待つかな 為世
今はまた忍ぶの里のしのぶにもあらぬ五月の時鳥かな 為氏
夕されば秋風吹きて高円の尾花がうへに秋風ぞ吹く 行家
以上『新後撰集』
立かへり春はきにけりささ波や氷吹きとく志賀の浦風 為家
かげろふのもゆる春日の浅緑かすめる空も雪は降りつつ 為氏
帰るさの道もやまよふ夕暮のかすむ雲井に消ゆるかりがね 永福門院
さくら花はやさかりなり百敷の大宮人は今かざすらし 伏見院
明石がた沖にかたぶく月影に雲こそなけれ浪ぞかゝれる 為世
定なき命もいかに惜しまれむ契りし末をたのむ身ならば 贈従三位為子
以上『続千載集』
十三
為世が八十九の高齢で世を去ったのは延元三年であったが、それは少し生き過ぎたうらみがないではなかった。