轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
で……。
泰軒と栄三郎、この二、三日こっそりと談合をすすめていたが、お艶に知らせればむだな心配をかけるばかりだと、先刻雨の中をぶらりと銭湯に出ていった栄三郎は、じつはいまごろは泰軒としめし合わせて本所の鈴川の屋敷へ斬りこんでいる時分なのだ!
そうとは知らないお艶、ぬれ手拭をさげた栄三郎をこころ待ちに、貧しいなかにも黙って出して喜ばせようと、しきりに口のかけた銚子の燗ぐあいを気にしていると――。
突如、はでな色彩が格子さきにひらめいたかと思うと、山の手のお姫様ふうの若いひとが、吹きこむ雨とともに髪を振り乱して三尺の土間に立った。
どうん! と一つ、戸外から雨戸を蹴るのが手はじめ。
栄三郎と泰軒が、同時に左右に別れてその戸の両側に身をかくす。
とも知らない庵内の男、夢中でごそごそ起き出たらしく、やがてめんどうくさそうに戸をあけて、
「ちえッ! 誰だ、今戸にぶつかったのは? 用があるなら声をかけろ」
と、みなまでいわせず、刹那、鞘をあとに躍った武蔵太郎が、銀光一過、うわあッ! と魂切る断末魔の悲鳴を名残りに、胴下からはすかいに撥ねあげられたくだんの男、がっくりと低頭のようなしぐさとともに、もう戸の隙から転び落ちて、雨に濡れる庭土を掻いてのたうちまわる。