轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
どうぞよろしく……ほほほほ、主人はちょっとただいまお風呂へ参りまして、でも、もうお湯をおとした時分でございますから、おッつけ帰るだろうとは存じますが、どこかへまわりましたのかも知れませんでございますよ。まあ、ごゆっくり遊ばして」
と、栄三郎の妻という句に力を入れて、これだけいうのがお艶には一生懸命だった。茶屋女上がりと馬鹿にされまい。まともな挨拶もできないとあっては、じぶんよりも栄三郎様のお顔にかかわる。こう引き締まったお艶のこころに、まあなんといっても、いま栄三郎の心身をひとりじめにしているのはこのわたしだという勝ちほこった気が手伝って、お艶にこれだけスラスラと初対面の口上を言わせたのだったが、そのあとで、
「良人がいろいろと御厄介になりましたそうで……」
と口にしかけたお艶は、突如、いい知れぬ嫉妬の雲がむらむらとこみあげてきて、急に眼のまえが暗くなるのを覚えた。
しかし、弥生は無言だった。
この家にはいって以来、彼女はお艶の顔に眼を離さずに、低頭はおろか口ひとつきかないですわっているのだ。
ものをいうのもけがらわしい!
と強く自らを叱している弥生は、それでも、これがあの栄三郎のおすまいかと思うと、今にも眼がしらが熱くなってきそうで、そこらにある乏しい世帯道具の一つ一つまでが、まるで久しく取り出さずに忘れ