轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
「ごめんくださいまし……」
と裏口に案内を求める町人らしい声。
「こんちは……ごめんくださいまし。おさよさんはいませんかね?」
と喜左衛門が大声をあげても、誰も出てくるようすはないから、こんどは鍛冶屋富五郎が引き取っていっそうがなりたてている。
「おさよさアン! おさよ婆あさん! ちッ! いねえのかしら……? じれってえなあ」
と、この声々が奥へつつぬけてくるから、おさよも源十郎のお相手とはいえ、じっとしてはいられない。すぐに裏口へ立って行こうとするのを鈴川源十郎、実の母にでも対するように慇懃にとめて、
「まま、そのままに、そのままに。なに、出入りの商人であろう。拙者が出る」
と懐手、のっそりと台所に来てみると、水口の腰高障子から二つの顔がのぞいている。
あさくさ田原町三丁目の家主喜左衛門と三間町の鍛冶富――おさよの請人がふたりそろってまかり出て来たので源十郎、さては悪い噂でも聞きこんだな、内心もうおもしろくない。
「なんだ? おさよ殿に何か用かな?」
押っかぶせるように仁王立ちのまんまだ。
おさよどの! と殿様の口から! 聞いて胆をつぶした喜左衛門に鍛冶富、すくなからず気味がわるい。