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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
「いいえもう殿様、それはわたくしからこそ……」と、有頂天に近い挨拶である。
第一段のはかりごと。
わがこと半ばなれり矣、と源十郎は、真正面に肩をはって、今日はちと改まった話がござる――という顔つき。
「おさよどの、そこでじゃ……」
源十郎、がらになくかたくなっている。
「はい」
「そこでじゃ、そこもとの身の上ばなしも、委細承ったが、養子というものは、いわばまあ、富くじみたよう――当たらぬことには、これほどつまらぬ話はない。近い例が、その御身じゃ。年をとって、こうして下女奉公をするのも、いってみればお艶どのの男が甲斐性のない証拠。な、おさよどのそうではござらぬかな」
「はい」
「ところで、ものは相談じゃが、どうだな、おさよどの、娘御を生涯おれの側女にくれる気はないかな」と、のぞきこむように、下から見あげて、源十郎、あわててつけ加えた。「いや、側女と申したとてそれは表面、内実は五百石の奥方、そこもとはとりもなおさず、そのお腹さま――いかがのものであろうな?」
「はい、まことにそうなれば……」
「ふむ、そうなれば?」
「そうなりますれば、わたしばかりか娘にとってこの上ない出世――ではござりますが、しかし……」