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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
「だまれッ! いずれ探ればわかること。早晩この返報はするからそう思え」
「そうとも! いずれ探れば分明することだ――それより丹下、いまは一刻も早くこの場を……!」
「何をお利益ごかしに! おおきにお世話だッ!」
左膳と源十郎、こうして短い会話をとりかわしながらも、
「お前さんたち、動くと撃つよ!……この異人の玩具は気が早くてねえ、ほほほ」
と突きつけるお藤の短筒に、捕吏の陣が、瞬間、気を抜かれてぽかんとしていると、左膳、一眼を皮肉に笑わせて、すばやくお藤のうしろにまわったが……。
ポン! ポン! と裾を払い、衣紋をなおしたかと思うと、べったり返り血に彩られたまま、やがて、さがりそめた夜のとばりに紛れて、ぶらりと裏門を出ていった。乾雲ではない別の大刀を、何事もなかったように落としざして。
と、ただちに。
お藤も、懐中鉄砲の先で、役人のまえに円をえがきながら、にっこと縁の源十郎に意味ふかい蒼白の笑みを投げておいて、あとずさりに木の間を縫って四、五間遠のくや、いなや、パッ! と身を躍らして左膳のあとを追った。
みるみる去りゆく剣魔と女怪の二つの影。
それッ! と激しい下知がくだって、捕吏の一団が小突きあいつつふたりの足跡を踏んだ時は、すでに塀のそとには人かげらしいものもなく、道路をはさむ畑に薄夜の靄気がこめて、はるか