轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
場所は、永代橋へ出ようとする深川相川町のうら、お船手組屋敷の横で、昼でも小暗い通行人のまばらなところ。
傷は一太刀。
ひだり肩口から乳下へかけてザックリ……下手人はよほど一流に達した武士であることに疑いを入れない。
やがて仄かに白もうとする寒天のもとに、お艶をはじめ一同は、変わり果てた伊兵衛の屍を路上にかこんで声もなく、なすところを知らなかった――。
つい先ほど。
「じゃアお艶さん、こんどあっしアお客で来るぜ。ちったあ線香を助けさせてもらおう。ははははは、ま、ごめんなさいよ」
と、例の渋い声で元気に笑いながら、新助と並んで帰っていった伊兵衛棟梁。
あの声音がまだ耳の底に残っているのに、今はもうこんな姿になって!……とお艶、この驚愕の真っただなかにあって、うつし世のはかなさといったようなものがしみじみと胸を侵すのだった。
紛失物は? と男衆のひとりが死骸のふところを探ると、案の定、財布がない!
古渡唐桟の大財布に、出羽様のお作料の三十両とお艶の身売り金を預かったのとをいっしょに入れて、ズッシリと紐で首からさげていた、その財布が盗まれているのだ。
人に意趣遺恨をふくまれて暗討ちにあうような伊兵衛棟梁ではなし、これで最初の刹那からみなが考えていたように物盗り、金が目当ての兇行ときまった。