轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
泰軒を顧みた忠相の眼じりに、こまかい皺がにこやかにきざまれている。
「役人……と申すと、与力か」
「さよう。八丁堀、加役のたぐいであることは言うまでもあるまい」
「役人に似た侍が追いおとし――コウッと、待てよ……」
首をひねった泰軒、即座に思い起こしたのは去秋お蔵前正覚寺門まえにおける白昼の出来ごと!
「おお! アレか!」
と口を開こうとした泰軒、忠相、急遽手を上げて制した。
「名は言うな! 先方も直参の士、確たる実証の挙がるまでは、姓名を出すのも気の毒じゃ、万事、貴様とわしの胸に、な、わかっておる、わかっておる!」
狐につままれたようにお艶がキョトンとしていると、忠相と泰軒、やにわに大声を合わせて笑い出したのだった。
春とは言え。
まだ膚さむい早朝……。
雨後の庭木に露の玉が旭に光って、さわやかな宙空に、しんしんと伸びる草の香が流れていた。
ぼちゃりと池に水音がはねると、緋鯉の尾が躍って見えた。雨戸を繰らないお屋敷のまわり縁に夜の名残りがたゆたって、むこうの石燈籠のあいだを、両手をうしろにまわし庭下駄を召して、煙のようにすがすがしいうす紫の明気をふかく呑吐しながら、いったり来たりしている忠相のすがたを小さく浮かび出している。