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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

「いつものことではないか」

「それが殊にひどいんで、とても知らせてやったところで一文にもなりませんから、そこでこちら様へただちに申しあげるんでございますが、ねえ丹下様、この女の所在ととっかえっこに、ひとつ鈴川さまに働かせてみちゃアどうでございます」

「ハハハハ、罪だな」

「なあに、罪なことがあるもんですか。こないだの晩だって、先にいっしょに瓦町へ物見に行ったときなんざア、ポウッと気が抜けたように、お艶のことばかり口走って歩いていたくらいですから、そのお艶の居場所がわかった、ついては、なんとかして栄三郎から刀を奪ってくれば、すぐにもそこを教えよう――こういってやりゃア、今はお艶のことでフヤフヤになっていますが、あれでも鈴川様は去水流の名人ですから、お艶ほしさの一念からきっと栄三郎を手がけて坤竜をせしめて参りますよ。あっしアこいつア案外うまくいくことと思いますが、丹下様、いかがで?」

「ウム、そうだな、折角の援軍もいまは四人に減って、おまけに栄三郎には泰軒、そこへもってきて五梃駕籠のほかに、かの手裏剣づかいの人猿も現れ、おれ達にとっては多難なときだ。こりゃア一番、てめえのいうとおり、お艶を囮りに、源十をそそのかして、コッソリ瓦町へ放してやるとしようか」