轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
――忠相が空をあおぐと、星一つない真ッ暗な一天から、また一粒の水が額部をうった。
声が聞こえる。
近い。
つと歩を早めて、忠相が裏門ぐちの広場へ出てみると……。
なるほど、これが大作のいった気のふれた女であろう。下町づくりのひとりの女が、見るも無残に取り乱して地に横臥し、何かしきりにわめいているのだ。
取り巻く中間折助のうしろからそっとのぞきみた忠相は、何を思ってか、続いてきた大作に命じて一同を立ち去らせ、あたりに人なきを待って、女と、その弟と称してかたわらに土下座する町人ていの男とのまえに、つかつかと進みよった。
「お藤! 櫛まきお藤であろう、汝は! 狂人をよそおって何を訴えに参った?」
忠相はしゃがんだ。
「お奉行様、いかにもそのお藤でございます。スッパリと泥をはいて、いっさいを申し上げますから、どうぞそのかわりに……」
「目をつぶって、江戸をおとせ――と申すか」
ジロリと、忠相の目が、そばの男へ走った。
「与吉であろう? つづみの」雨が、しげくなった。
雨と風と稲妻と……。
九刻ごろから恐ろしいあらしの夜となった。樹々のうなり、車軸を流す地水。天を割り地を裂かんばかりに、一瞬間に閃めいては消える青白光の曲折。