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よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
「新青年」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,371 字 · 23 页
」
「そんなことが、そんな無法な……では林という男の方はどうなるのです?」教授の声は、声というよりも、むしろ悲鳴である。
「あの方はもう問題でないのです。最初から嫌疑の理由が薄弱だったのが、御子息の自首によって、すっかり消滅したのですから。もうすでに予審免訴と決定して、今度の裁判には、被告としてではなく、証人として法廷へ出ることになっているです。」
「では、もうせがれを助けるてだてはないものでしょうか?」
「ないこともないかもしれません。が、何しろこの上ぐずぐずしていては大変なことになるかもしれません。御子息は、昨日今日は、審問するたびに、前の証言をとり消したり、ことによると自分が故意に殺したのかもしれないなどと、聞いているわたしさえもひやひやするようなことを口走られるのです。どうやら、あなたがおっしゃったように、ほんとうに精神に異状をきたされたらしいのです。そうしますと、一時精神病院で療養さして、改めて審問をしなおさねばならぬかとも考えておるのです。」
「そ、そんな、そんなひどいことが……精神病院なんて、あの恐ろしい狂人と一緒に、いいえ……せがれは狂人ではありません。