轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

「新小説」1920(大正9)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,102 字 · 104 页

青空文庫

二人は妙にきょとんとした顔を見合った。泣いていいか笑っていいか分らなかった。しまいには苛ら立った憤りの情のみが残った。木下は肩を聳かした。

「信子さん、私はあなたに云って置きます。もう私はあなたの玩具にはなりたくありません。あなたを凡て所有するか凡て失うかです。」

信子は彼の顔をじっと見つめた。

「それでどうなさろうと仰言るのです?」

「どうする、ですって? あなたは今更そんなことを云うのですか。あなたの心は何処に在るんです? 私はそれが知りたい。岡部君の容態の見極めがつかなくて苦しさの余り、一寸私に縋りついて来たばかりだ、そんなことを私はもうあなたに云わせはしません。私は岡部君に、私達は愛しているとはっきり云いました。岡部君も、君達は互に愛し合ってくれと云いました。熱に浮かされてたのではありません。何でもはっきり知っている、と岡部君は私に言明しました。今となっては、あなたが自分で自分を解決するばかりです。それで凡てが決します。私は岡部君と争おうとは思わない。病人と争おうとは思わない。然しこのままの状態でいることは出来ません。あなたの一部分だけを、憐れみの情から恵んでほしくはありません。