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ふたりまちやっこ
二人町奴
国枝 史郎
「少年倶楽部」1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,555 字 · 19 页
旗本奴と町奴、それと並び称された浪人組、衣裳も美々しく派手を極め、骨柄いずれも立派である。その数合わして六七十人、真昼間の春の盛り場で、華やかに切り合おうというのである。
凄くもあれば美しくもある。
遠巻きにした群集達。一時に鬨作って逃げ出したが、さらに一層遠くへ離れ、勝敗はどうかと眺めている。
気の毒なのは店屋である。バタバタと雨戸を引いてしまった。側杖を恐れたからである。役人も幾人かいたけれど、うかと手を出したら怪我しよう! で茫然と見守っている。
仲裁する者はないのだろうか? なければ血の雨が降るだろう、死人も怪我人も出るだろう。
群集のどよめき治まると、深刻な静寂が寺域を領し、その中に立っている観音堂、宏大な図体を頑張らせてはいるが、恐怖に顫えているようにも見える。
と、この時仁王門の方から、修羅場にも似合わぬ陽気な掛け声が、歌念仏の声をまじえ、ここの場所まで聞こえてきた。
次第々々に近寄って来る。
見れば飾り立てただしであった。巨大な釣鐘が乗っている。
吉原十二街から寄進をした。釣鐘を運んで来たのである。
にわかにだしが止まってしまった。