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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
日本じゅうの男の子を、すくなくもその考えに近づけ、信じさせようと方向づけられた教育であった。校庭の隅で本を読む二宮金次郎までが、カンコの声でおくりだされてしまった。何百年来、朝夕を知らせ、非常を告げたお寺の鐘さえ鐘楼からおろされて戦争にいった。大吉たちがやたら悲壮がり、いのちを惜しまなくなったこともやむをえなかったのかもしれぬ。しかし大吉の母は、一度もそれにさんせいはしなかった。
「なああ大吉、お母さんはやっぱり大吉をただの人間になってもらいたいと思うな。名誉の戦死なんて、一軒にひとりでたくさんじゃないか。死んだら、もとも子もありゃしないもん。お母さんが一生けんめいに育ててきたのに、大吉ァそない戦死したいの。お母さんが毎日なきの涙でくらしてもえいの?」
のぼせた顔にぬれ手ぬぐいをあててでもやるようにいったが、熱のはげしさはぬれ手ぬぐいではききめがなかった。かえって大吉は母をさとしでもするように、
「そしたらお母さん、靖国の母になれんじゃないか」
これこそ君に忠であり親には孝だと信じているのだ。それでは話にならなかった。
「あああ、このうえまだ靖国の母にしたいの、このお母さんを。