轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

ほかにたのむ医者はなく、せめてうまいものでもと心がけたが、なかなか手にはいらなかった。海べにいて、魚さえ手に入らないのだ。魚はありませんか、卵はありませんかと、一ぴきのめばる、一つの卵に三度も五度も頭をさげねば手に入らなかった。そのために母がひとりでかけまわった。

そしてある日、名誉の門標はいつのまにか火鉢の引出しから、門の鴨居の正面に移っていた。母の留子に大吉がそこへ打ちつけたのである。小さな「名誉の門標」は、しかるべき位置に光っていた。「門標」の妻は、しばし立ちどまってそれを眺めた。ひとりの男の命とすりかえられた小さな「名誉」を。その名誉はどこの家の門口をもかざって、恥をしらぬようにふえていった。それをもっともほしがっていたのは、幼い子どもだったのであろうか。

そうして、ついに迎えた八月十五日である。濁流が、どんな田舎の隅ずみまでも押しよせたような騒ぎの中で、大吉たちの目がようやくさめかけたとしても、どうしてそれを笑うことができよう。笑われる毛ほどの原因も子どもにはない。

戦争の残飯をあさる人たちも多いなかへ、生きのこった兵隊が毎日のようにもどってきた。