轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

「おお寒ぶ。もう袷じゃのう、おっさん」

「なに、陽があがりゃ、そうでもない。今が、いちばんえい季節じゃ。暑うなし、寒うなし」

珍らしく絣のセルの着物に、紫紺の袴をつけている大石先生だった。ゴザをしいた船の胴の間に横いざりに坐った足を、袴はうまくかくして、深い紺青の海の上を、船は先生の心一つをのせて、櫓音も規則ただしく、まっすぐに進んだ。二か月前に泣きながら渡った海を、今はまた、気おいたつ心で渡っている。

「なんせ、ひどい目をみたのう」

「はあ」

「若いものは、骨がやらこい(やわらかい)から、折れてもなおりが早い」

「骨じゃないんで。筋ともちがう。アキレス腱、いうんじゃがのう。骨よりも、むつかしいとこで」

「ほう、そんなら、なおいかん」

「でも、ひどい目にあわすつもりでしたんじゃないさかい。怪我じゃもん、しようがない」

「そんな目に おうても わかれの あいさつとは 気のえい こっちゃい。ゆんとん、さんじゃい」

船頭さんは櫓にあわせて短かくことばをくぎりながら、「ゆんとん、さんじゃい」で、いっそう力を入れてこいだ。大石先生もくつくつ笑いながら、それにあわせて、

「そんなこと いうても たったの 一年生が 親にも ないしょで 見舞いに きたんじゃもん いかんと おれるかい ゆんとん さんじゃい」