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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

途中で出あう人たちは、いちいち見舞いのことばをおくった。

「怪我はどないでござんす。あんじよりました」

先生のほうもいちいちあいさつをかえした。

「ありがとうございます。そのせつは、お米をいただいたりしまして、すみませんでした」

「いいえ、めっそうな。ほんの心もちで」

すこしゆくと鍬をかついだ人が、はちまきをはずしかかっている。同じような見舞いを聞いたあと、

「こないだはどうも、きれいなそら豆をありがとうございました」

すると、その人は少し笑って、

「いやァ、うちは、胡麻をあげましたんじゃ」

じぶんの馬鹿正直さに気がつき、これからは米とも豆ともいわないことにきめた。わずか一学期だけのことだったので、一年生の父兄のほかはよく顔もおぼえていなかったのだ。そのつぎに出あった、漁師らしい風体の人を見ると、魚をくれたのはこの人かと思い、用心しいしい、頭をさげた。

「こないだは、けっこうなお見舞いをありがとうございました」

するとその人は、きゅうにあわてだし、

「いや、なに、ことづけようと思とったんですが、つい、おくれてしもて、まにあいませなんだ」

先生のほうも同じようにあわてて、赤い顔になり、