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にばんめのむすめ

二番めの娘

小川 未明

「少女倶楽部」1925(大正14)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,488 字 · 16 页

青空文庫

そして、背に箱をばふろしきで負って、いずこをかさして立ち去ったのであります。

赤い夕焼けのする夏がすぎて、やがて秋となり、そして、冬は、北国に早くおとずれました。雪は降って、野も山も埋めてしまい、それが消えると、黄昏時の長い春となりました。その間、姉や、妹や、弟らは、よく母のいうことを聞いて、この一家は、むつまじく日を送ってきたのであります。

子供たちは、薬売りの小父さんのくれた絵紙を出して見たりしました。その絵には、白壁の家があり、柳があり、町があり、橋があり河が流れていました。

「こんなところへいってみたいこと。」と、一人がいいますと、

「ずっと遠いところだから、幾日もかからなければゆくことができない……。」などと、一人が話をしたのでした。

その年の夏もまた、年とった旅の薬売りはやってきました。彼は母親に向かって、

「私は、今年もこうしてきましたが、じつは、あなたのところの娘さんをもらいたいと思ってやってきたのです。私には、子供というものがありませんので、寂しくてなりません。働いて、ためました金も、また家の財産もやるものがないので悲しく思っています。