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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

小栗虫太郎『人外魔境』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人外魔境、人外魔境、人外魔境、人外魔境。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,713 字 · 205 页

青空文庫

は征服不可能なのか。いや、彼のゆくところ砕けざる魔境はない。では、それはどういう理由だろう。

――探検とは、国という砲身のはなつ弾丸なり。

この言葉を、彼は忘れていたわけではないけれど、いまロンドンにいてイギリス人の生活をみていると、しみじみその言葉が胸うつように響いてくるのだ。いまイギリス人は、わずかを働いて多くをとっている――その、余裕綽々ぶりはなにに由来する※(疑問符感嘆符、1-8-77) インド、濠州、南阿、カナダ――みな一、二世紀まえの探検の成果だ。

するとじぶんに、民族の血をとおしてした探検があったろうか。時代がちがうとはいえ最小の効果でも、国にたむける意味の探検があったろうか。文化の貢献者という美名にあこがれて、ただそれだけのために働いていたのではないか。と思うと、泣きたいような気持になる。これまで彼がしたすべての事が、いまは些細な塵のようにしか見えなくなったのだ。もう、大地軸孔へ行く気力などはない。

まして、独逸航空会社は純文化的意味だというけれど、この「大地軸孔」探検はそんなものではないらしい。近東空路を、はるばるアフガニスタンの首府カブールまで伸ばしてきた、独逸航空会社には一層の野心があるのだろう。